出産難民、海外での状況
アメリカでは、1986年以降EMTALA(緊急的診療・分娩法)という法律があり、救急・出産に関し病院が症状安定の義務を負うため、たらいまわしができない構造になっている。病院は優先順位の高い患者から順に振り分け受け入れなくてはならないし、この症状安定の義務に反した場合厳しい罰則を受けることとなる(ただし医療過誤よりはるかに軽い)。この法律は、病院の救急車であっても病院の所有物とみなされ適用されるし、病院以外の救急車を調達する事は特別な理由を除き許されないとされている。
産科医療体制の崩壊は日本に限った話ではなく、例えばアメリカ合衆国では、産科医では収入の半分が損害賠償保険の掛金(カリフォルニアでは年間約17万ドル)として消えることも珍しくなく、産科医を目指す者が大幅に減少し、産科医を辞める医師が増加した結果、州によってはほぼ産科医が存在しない州(フロリダなど)も出てきている。このため、介助などの得られない危険な自力出産を強いられる妊婦が増加し、死亡率も上昇傾向になっている。
これらの州では海外から来る移民の産婦人科を使って補っている。
また、アメリカ合衆国では、この他、人工妊娠中絶を行っている産科医は、宗教的な信念から中絶反対運動を行っている者に殺害されるリスクもある。
日本の産科の状況
劣悪な労働条件と医療訴訟のリスクにより、医学生に「産科は訴訟リスクが高い」「労働環境が劣悪」「世界最高レベルの医療環境が整っていても、過失により母子に障害等を与えれば逮捕される可能性もある」などの認識が生まれ、産科医を志す人材が減少した。
またかつては体力的にきつい産科は男性向きだと考えられていたが、男性産婦人科医を嫌う患者も多いことから、また出産にあたって男子医学生の立ち会いが嫌われるため、男性が産科医を目指さなくなる風潮が生まれた。35歳以下では女性が産婦人科医の多数を占めるが、女性産婦人科医は自己の妊娠出産育児に対しそのサポート体制が確立されていないため離職を強いられることがしばしばある。
さらに、産婦人科医が分娩を扱わず婦人科のみに転向したり、他科に転向する例が増え始めた。ただでさえ2004年度から始まった臨床研修必修化により大学病院の医局が関連病院に派遣していた研修医を引き上げた時期であり、関連病院の産婦人科が分娩受け入れ困難になるという事態も起こった。臨床研修必修化により憧れのみで産婦人科に入局するものが無くなり、研修医として医療に参加しながら産婦人科を経験しその過剰な勤務や訴訟リスクの高さより敬遠され、「一生懸命やっても逮捕される。」との過剰反応に基づく誤解も生まれ(日本の刑事法は無過失にも責任を問うものではない)、新規の産婦人科医は減少している。産科医数そのものも減少に転じ、産科を標榜し分娩を取り扱う病院が全国的に減少することとなった。また、出産後の新生児の置き去りや出産の診療費の踏み倒しなどの妊婦側のモラル低下が産科医の減少を助長している。
そのため地域によっては「自宅から最も近い産科まで数時間の通院時間を要する」「公立病院での出産が抽選になった」「分娩予約が予定日の6ヶ月前」などという事態がみられ、だれもが産科医の管理下で医学的に安全な分娩をすることは困難な状況になりつつある。また、特に地方では問題が顕在化しつつあり、新聞などでもこれらの状況にある妊婦を「出産難民」として取り上げ報道するようになった。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
どんな時も安全な出産出来るようにしてほしいですね。
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